ページ内を移動するためのリンクです
MENU
ここから本文です
週刊こぐま通信
「室長のコラム」

これまでの学習を無駄にしないために

第219号 2009/10/23(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 神奈川の試験が始まり、すでに合格発表も出されています。11月1日からはいよいよ都内の学校の入試が始まります。都内から神奈川の学校を受験された方々は、都内の入試前に出る結果が気になると思いますが、その結果に左右されず、第1志望の合格に向けて頑張ってください。神奈川の学校が不合格でも、都内の学校に大勢合格していますから心配しないでください。通学時間も合否判定のひとつの要素ですから・・・

現場の私たちにとって10月の後半は、今年入試を受ける子どもたちを自信を持たせて送りだすと同時に、来年受験する子どもたちの受け入れ準備もしなくてはなりません。先週の金曜日は、これから聖心合格を目指して準備を始める保護者の方々を対象に「聖心合格カレンダー」と題したセミナーを行いました。また本日は、雙葉合格を目指す方々を対象に、これから1年間の正しい学習のあり方をお伝えしました。

年長児は神奈川の入試に引き続き、都内の試験に臨み、その後続く国立の試験まで頑張らなくてはなりません。これから少しの間、結果が出るまで不安と焦りの日々が続きますが、あと少しの頑張りです。どうか第1志望合格に向けて、コンディションの調整に集中してください。入試が終わると、まず疲れが出るのは子どもよりご両親の方だと思います。おけいこの送り迎えだけでなく、日々の家庭学習、願書書き、面接練習・・・と子どもと同じくらい大変な日々を過ごしてきたからです。試験が終われば、この1年間できなかったことを思う存分してみたいと感じるのは、子どもより保護者の皆さまの方だと思います。しかし、ちょっと待ってください。入試が終わっても、生活習慣化した「学ぶ」ことを放棄しないでいただきたいのです。結果がどうであれ、冷静な眼でこの1年間を振り返って見れば、幼い子どもたちがどれだけ頑張って、知力を高めてきたことか・・・受験を目指さない子どもたちと比べれば、どれだけ「考える力」を磨くチャンスを与えられてきたことか。それは、私たちが想像する以上に大きな意味を持つ貴重な体験だったと思います。家族一丸となって頑張ってきたこの1年間の経験を、次のステップへの原動力にしていただきたいと思います。入試はひとつのゴールであると同時に、また新たな出発点でもあるのです。

私たちは試験に合格するためにだけ、ただテクニックを教え込んできたのではありません。小学校の教科学習につながる内容を幼児の生活や遊びにテーマを求め、入試で必要とされる「考える力」の育成に多くの時間をさいてきました。どの学校に通うにせよ、この学びの経験は引き継ぎ活かさなくてはなりません。私は、この1年間の学習で学んだ「考える力」を形ある学力に定着させるために、「幼小一貫教育」の考え方に基づいた教育を継続すべきだと考えています。私は、今年4月に小学校に入学した子どもたちとの学習を通して、受験対策として行ってきた学習を、教科学習で求められる学力につないでいくプログラムを新たに開発してきました。受験を経験した子どもたちが、その後1年間の系統学習で、小学校3年生までの学習内容をマスターできることを「ひまわりクラブ」の授業で実際に証明してきました。ですから、今は声を大にして保護者の皆さまに「あと1年、これまでのような計画的な学習を続けてください。」と申し上げたいと思います。受験終了後の1年間に、これまで学習してきたことを教科学習につなげていく努力をすることで、幼児期の基礎教育がひとつの形に完結するはずです。受験が終わった瞬間学ぶことを放棄してしまったら、これまで力を注いできた莫大な時間と、莫大な投資を無駄にする結果になってしまいます。この「幼小一貫教育」のつなぎができれば、あとは子ども自身の頑張りで学力の積み上げは可能でしょう。受験をして本当によかった・・・と実感するためにも、入試後の1年間こそ良い学習環境を整え、子どもを支えてあげてください。

PAGE TOP