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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

夏季講習会を通して見えてきた残された課題

第211号 2009/8/28(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 7月13日から始まった夏季講習会も、8月22日・23日の合不合格判定テストによってすべて終了しました。毎朝8時から夕方6時まで、連日続く講座に子どもたちも頑張って参加し、学習を深めてきました。夏休みに入る前に受験に関する基礎・応用の学習をすべて終え、この夏はより難しい問題に挑戦してきました。難しい問題を与えることによって、基礎が本当に理解できているかどうかをチェックしながら、過去問や予想問題に取り組ませてきました。この夏の頑張りがきっと実を結ぶと信じています。

夏休みは学習課題だけでなく、行動観察の対策や口頭試問の対策なども行ってきました。小学校入試の合否が学力試験だけで決まらない現実を踏まえ、あらゆる角度から対策を講じてきました。その結果、現段階で9割方仕上がってきていますが、いくつかの問題点も見えてきました。それをこれから残された時間の中で解決していかなくてはなりません。9月・10月に、残された1割の課題をどう解決していくのかが問われています。その課題は個人個人によって違いますが、夏季講習会を通して見えてきた学力の問題点や行動面における問題点をお伝えしますので、家庭における直前対策の参考にしてください。

  1. パターン化された問題は自信を持って解けるが、はじめての問題になると手がつけられない子が依然として多い。特に聞き取りの面において、何をどう答えたらよいのかがわからない子が目立つ

  2. ペーパーで答えが出せても、なぜそうなるのかの説明ができない子が多い。これは試行錯誤させながら自分で解く練習をせず、大人がパターンで教え込んだ結果だと考えられる。自分で考える癖をつけること。1枚のペーパーをいろんな角度から質問してあげることが大事である。量をこなすという発想は現在の入試対策には合わない

  3. まだ指を使って数の問題を解こうとしている子が1割ほどみられる。10以内の数については暗算できるようしておきたい

  4. ていねいにやりすぎて時間内に終わらない子が目立つ。ていねいさはとても重要だが、「ていねいにかつ速く」の、”速く”にもう少し集中してほしい。逆に速すぎて、丸の描き方、線の引き方が雑な子も目立つ。「ていねいさ」と「速さ」は相反することが多いが、「ていねいにかつ速く」を徹底したい

  5. 出来・不出来に敏感になりすぎる子が多くなり、ペーパーなど終わった後、横を見て確認しようとする子が目立つ。決してカンニングするのではないが、自分の答えに不安があってそうした行動になるのではないかと思われる。「あなたの答えがいちばん正しい」ということを常に言い続け、頭の中に叩き込んでおいてほしい。また、これからテスト結果も含め、出来・不出来をあまり厳しく言いすぎるのは控えたい。逆にできないこともあるという事実を知らせておく必要がある。完璧にできてきた子ほど、本番で壁にぶつかるとポキンと折れてしまいがちな傾向にあるからだ

  6. 自由遊びに代表される集団活動において、ほかのお友だちに声かけができず、どのようにかかわっていったらよいのか、その手がかりがつかめない子が目立つ。特に、これまで集団で受験対策をとってこなかった子の中に多くみられる。こうした子は、時間が許す限り集団活動への参加をお勧めしたい。これからの行動観察は、本来の子どもの姿を見ようと「自由遊び」が増えていくと思われる。行動観察を、課題が「できる - できない」という発想でみるとこうした点を見落としがちになる。行動観察は与えられた課題ができたかどうかという視点で評価されるのではなく、与えられた課題にどう取り組めたかという点で評価されていることを忘れないでほしい。今の子どもたちはコミュニケーション能力が極端に落ちている

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