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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

夏の学習課題(5) 言語領域でおさえておくべきこと

第210号 2009/8/20(Thu)
こぐま会代表  久野 泰可

 言語領域の内容は、将来の国語科につながる内容と考えれば、入試問題の整理は簡単にできます。つまり、

  1. 聞く力の代表としての「話の内容理解」
  2. 話す力の代表としての「お話づくり」
  3. 日本語の理解としての「言葉の理解」

文字に関する問題も少しずつ出され始めていますが、意図的な学習をしなくてもできる問題ですから、「読む力」と「書く力」に関する問題は、小学校入試においてはまだ出されることはないと考えて良いと思います。

その前提の上で考えたとき、どの学校でも必ず出される「話の内容理解」に関する問題に新しい流れが出てきたことに注目しておかなければなりません。子どもたちが入学して以降の学力向上の基礎として、学校側が「聞く力」をこれまで以上に重視していることがうかがえます。その新しい流れとは次の2つに整理できます。

  1. 聞かせる話が長くなった。時には絵本が使われる場合もみられる。
  2. 話の内容理解の設問に、従来の4つ(登場人物・順序・数・登場人物の行為)だけでなく、さまざまな領域の問題が組み込まれ始めている。時には、話の内容理解の形をとりながら実は数の問題であったりする場合が多い。これからはどんな内容の問題(地図上の移動・関係推理等)が出されてもおかしくない時代になるはずだ。

もう一つの新しい流れは、言葉の理解に関する問題がかなり多様化しはじめているということです。この点については、普段の生活の中で意識的に練習していくのが一番いいと思いますが、学習観点を考える場合、入学後に行われる品詞の学習を考えるのが良いと思います。

名詞の理解:音一文字・同頭音・同尾音・しりとり
動詞の理解:動きを表す言葉・同音異義語
形容詞の理解:反対言葉
副詞の理解:様子を表す言葉

特にこの中でも、一音一文字に関する問題は学校側も文字指導の基礎として重視し、相当工夫した問題を出しています。この対策については、実際の入試問題を練習するのが一番良いと思います。もう一つ注意しなくてはならないのは「しりとり」問題の難問化です。しりとりは子どもも楽しめる「言葉遊び」でありながら、その「ルールの理解」が正面で問われた場合、問題が相当難しくなります。一番難しいのは、はじめの言葉も終わりの言葉も指定がなく、かつ余分な言葉が入り込んでいる場合のしりとりです。

このように、話の内容理解の変化・一音一文字の問題の多様化・しりとり問題の難問化・・・この3つを押さえた学習をこの夏にしっかり行ってください。また、口頭試問や行動観察で「コミュニケーション能力」を見る問題も増えています。ペーパーで行うことはまずありませんが、そこまで広げて「国語力」の基礎を見ようとしていますので、話す力の一つとして重視してください。

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