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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

数の内面化

2005/07/28(Thu)
こぐま会代表  久野 泰可

 夏季講習会が始まり、朝8時半から夕方6時過ぎまで、教室には子どもたちの元気な声があふれています。秋の入試まで残すところ3ヶ月。ご両親の意気込みを子どもなりに感じとり、子どもたちも精一杯がんばっています。この夏のがんばりは、秋には必ず実を結ぶと確信しています。

 この時期の学習内容に関する相談の中で、やはり入試問題の中心になる「数」の学習法についてのご相談が一番多いように思います。受験生の皆さんはこの時期までにすでに、四則演算の基礎となる数の操作について、具体物やペーパーを使って学習してきているはずですが、そうした学習を踏まえ、もうひとつ先の「数の内面化」のためのトレーニングが必要です。いわゆる暗算ですが、これが数領域における仕上げの課題です。そのために、私たちは学習当初から指をつかった数の操作は一切排除してきました。指をつかった数の操作は便利ですが、ある時期から「数の内面化」を阻害するものになってしまうからです。では、なぜ暗算が必要なのか。それは、入学後の計算能力を高めるために、どうしても今やっておかなくてはならないものですが、それだけでなく、最近の入試問題を見ても、複合問題が多く出されている点や、スピード性が求められている点を考えると、入試対策としても暗算能力を相当高めておかなくてはなりません。ペーパー問題にしても、最近では場面が絵になっていなく、解答欄しかないペーパーも増えています。また、話の内容理解の中に数を操作させる問題も出始めています。そうしたものにも対処できるように、四則演算に関する数の操作は、暗算で答がでるようにしておく必要があります。では、どこまで暗算できればいいのか。私たちは、入試問題のすべてを最終的には暗算できるようにしようと、プログラムを組んで指導してきていますが、いくつかの原則があります。

  1. 扱う数の範囲は基本的には10までとし、大きくても12までとする
  2. 数だけ取り出したいわゆる計算練習ではなく、必ず文章として問題を提示する
  3. 中心は、足し算・引き算につながる内容とし、掛け算につながる一対多対応や、割り算につながる、分配や包含除の問題は簡単なものだけにする

 暗算能力には月齢差がありますが、9月までに全員ができるように目標を定め、夏休みの大事な学習課題にしています。順序を踏まえて練習すれば、現段階で以下のような問題も、暗算で短時間に答を出せるようになります。

 庭で4人の子どもたちが遊んでいます。少したつとまた5人やってきましたが,2時に3人帰りました。三時になったら、お母さんが今いる子どもたちにひとり2枚ずつおせんべいをあげようと思いますが、缶の中には、いま9枚しかありません。これでは足りません。あと何枚買ってくればいいですか。

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