ページ内を移動するためのリンクです
MENU
ここから本文です
週刊こぐま通信
「室長のコラム」

夏の学習課題(2) 未測量・位置表象の学習ポイント

第207号 2009/7/24(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 受験生の皆さんは、この時期までに受験に関係するすべての領域の学習を既に終了していると思います。そうでなければ過去問や難問に取り組む意味がありません。基礎と応用が一応身についた段階でこそ、過去問トレーニングが意味を持ってくるからです。今回は「未測量」と「位置表象」の領域で、この夏にもう一度確認しておくべき課題をお伝えします。

「未測量」や「位置表象」の領域の出題は、「数」や「図形」と比べるとあまり多くはありません。しかし、出されるとかなり難しい問題になります。まず、「未測量」の課題の中でこの時期もう一度点検すべき課題は、以下の通りです。

1. シーソーによる重さ比べ
2. 言葉による関係推理
3. 順対応・逆対応
4. つりあい
5. 単位の考え方
6. 量の三等分

この中で、入試で一番出やすい課題は「シーソー」と「言葉による関係推理」だと思います。シーソーは四者関係の推理が基本となりますが、場面が3つだけでなく4つ・5つの場合も考えられます。余分なものも入れて場面を多くし、関係を複雑にしていくのです。ですから、四者関係のシーソーをいつも3つの場面だけで練習しないよう気を付けてください。シーソーを使ったもう一つの課題である「つりあい」は、シーソーの考え方とは全く異なり、数における「一対多対応」の考え方と「置き換え」を使って解きます。関連問題に「交換」がありますが、解く際に必要な考え方はつりあいと全く同じです。ですから、かけ算の考え方につながる「一対多対応」をしっかり身につけてください。「量の三等分」や「単位の考え方」も頻繁に出る課題ではありませんが、小学校の算数につながる大事な考え方ですので、十分練習してください。

では、「位置表象」はどうでしょう。位置表象領域のポイントは「左右関係の理解」です。単純な自分の右手・左手の問題だけでなく、自分以外の視点から見た左右関係の理解が伴う「四方からの観察」や「地図上の移動」など、難しい問題のほとんどが左右関係の理解が前提になっています。その点も含め、この時期にもう一度点検すべき課題を掲げます。

1. 方眼上の位置の言語化および移動
2. 自分以外の右手・左手
3. 3×3方眼上の位置の記憶
4. 四方からの観察
5. 地図上の移動
6. すごろくによる旅人算的思考
7. 回転位置移動

方眼を使っての課題は、ここにあげたもの以外にも「方眼を使った位置の対応」「方眼図形」などもあります。また、方眼の特性を活かした「二重分類」や「総合分析」の課題もあります。また、対称図形で方眼を使うケースもありますので、方眼に慣れ親しんでおくことは重要です。「四方からの観察」は、反対側からの見え方を実際に描いてみる課題をとおして、理解できているかどうかを点検してください。また、地図上の移動は「移動」に関する典型的な問題ですが、指示を聞き終わった後動く場合と、指示を聞きながら動く場合とがありますので、その両方の質問の仕方に慣れてください。「すごろくを使った旅人算的思考」を求める問題は、追いついたり出会ったりする課題ですが、幼児の場合は、計算ではなく実際の作業で答えを見つけなくてはなりませんので、すごろくの動き方をよく練習してください。1つずつ動く場合だけでなく、2つずつ動く場合、3つずつ動く場合など、間違いなく作業できるかどうかがポイントです。また、回転位置移動は、5×5方眼上に描いたさまざまな形が右や左に何回か回転した時、それぞれの形の位置や向きはどう変わるのかを判断する課題です。これはとても難しい課題ですから、実際に方眼を回転させて考えさせてください。

位置表象に関する課題は、最初に「左右関係の理解」がポイントだと述べましたが、最近の新しい傾向の問題は「移動」や「回転」を絡ませて問題を難しくする傾向にあります。これまでは「地図上の移動」が移動問題の典型でしたが、最近はいろいろ工夫されて出題されていますので十分練習してください。

PAGE TOP