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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

基礎段階の学習を終えた子どもたち

第197号 2009/5/15(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 昨年11月から始まった受験組(ばらクラス)の授業も連休前に「ステップ4」まで終了し、今週から応用段階の「ステップ5」の学習に入りました。残すところ半年。これから各学校で説明会もはじまり、学習内容も難易度を増してきます。

入試問題の8割はこれまでの基礎段階の学習、特に「ステップ3」と「ステップ4」の学習に関連した問題です。ですから、この内容をしっかり身につけ、応用段階の難しい課題に取り組まなくてはなりません。この基礎がしっかりできていないところで難しい応用課題に取り組ませても、時間をかける割に理解が深まらないという結果になりかねません。その意味でも基礎は大事にしなくてはなりません。月例の遅い子はこれからが飛躍の時です。あせらず、基礎を固め一歩一歩前に進んでください。

最近の教育相談の多くは「テストの成績が落ちてしまったから心配だ」という類の内容です。こうした現象はこの時期必ずあるもので、今までかなり良い成績をとっていた子が伸び悩む時期です。原因はいろいろ考えられます。

  1. 形だけを覚え、本当に理解していなかったことが、角度を変えて問われたとき表面化してしまった
  2. 早いうちからスタートした子は、はじめの頃は良い点が取れても、後発組にだんだん追いつかれて、結果として相対的に成績が下がる
  3. 特に、月例の遅い子が成績を伸ばし始め、その結果として順位が下がる
  4. 表面的な学習の結果、根拠を問われたとき、自信を持って説明できない
  5. 正しい学習をしていないために、同じ課題でも、別な視点からの質問になると、答えられない

これまでペーパーばかりをやってきた子は、基礎がしっかり身についていないためにこれからが大変です。なぜでしょう。最近の難しい問題は、

(ア) 同じパターンの問題は、ほとんど出ない
(イ) 物事を筋道立てて考え、自分の力で解かなくてはならない
(ウ) 余分な要素を入れて、問題を複雑にする
(エ) 逆から問いかける
(オ) 問題が複合問題化し、ひとつの答えを出すために2段階思考が要求される

というような特徴があります。そのためには、具体物を使って試行錯誤させる経験がどうしても必要です。物事に働きかける経験がないところで応用力は身につきません。その弊害が必ずこれから表面化してきます。しかし、遅くはありません。その時に基礎に戻る勇気をもって、もう一度最初から立て直してください。具体物を使って学習するのが最適です。

逆に、これまで具体物やカード教材を中心に学習を進めてきた子は、これからがペーパートレーニングを相当量行うチャンスです。これまでの理解度をペーパーでチェックし、応用力をつけるチャンスです。6~7枚を1セットとし、それを1日のうちに何回やれるかが勝負です。テスト形式で、少なくとも2~3セットやることを目標にしてください。ただし、ポイントは難しい問題と基本の問題を混ぜて行うことです。やさしすぎても難しくしすぎてもだめです。ちょっと背伸びをすればできそうな問題をどう選ぶか。ここが保護者の腕の見せ所です。これを誤ると成果は望めません。学習の系統性が大事だということはそういうことです。これについては、クラスの担任、指導責任者に聞くのが一番です。それがわからない教師は受験指導者としては失格です。権威だけを振り回す指導者に、意外と学習の系統性がわからない教師が多いものです。そんな指導者に子どもを預けてはだめです。これから半年間の舵取りの仕方が合否を分けると言っても過言ではありません。子どもの成長を信じ、冷静に対応することが大事です。

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