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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

09年度 私立小学校入試総括(3) 複数校合格者から何が見えるか

第179号 2008/12/19(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 今年の入試も筑波大付属小学校の発表を待つだけとなりました。12月4日の「私立小学校入試分析セミナー」に引き続き行いました「室長特別セミナー」では、合否判定に関する分析を具体的数値も掲げてお伝えしました。その中で複数校合格した子の分析も行い、なぜたくさんの学校から合格をいただけたのか、そこから見えてくる求められる子ども像を出来るだけ明らかにしたつもりです。

私は毎年、合否判定に関する分析をする際に「補欠合格者の出し方とその動き」と「複数校合格した子の分析」を重視してきました。学力があり、いつも模擬テストでは偏差値60以上とっている子が1校も合格をいただけない反面、受けた学校すべてから合格をいただく子もいるという現実に直面すると「なぜ?」と考えざるを得ません。

複数校合格する子をいろいろな面で分析していくと、ひとつの傾向があるのがわかります。

  1. すべてのテストの偏差値を平均すると、56以上ある学力優秀な子である
  2. 決してリーダーシップをとるほど元気ではないが、やるべきことはきちんとやり、特に、物事に対する集中力は優れている。そのため、課題に取り組み始めたら、一切となりの子の動きに左右されることなく、ましてや、まねをしたりするようなことは一切ない
  3. 精神的に安定している子であり、プレッシャーを感じ、不安そうに振舞うような、追い詰められている子ではない
  4. 母親との関係が良好であり、母親が怖い先生役を演じることはなく、子どもにもしっかりとした「自立心」が身についている

言葉で表現することには限界がありますが、ともかく、複数校合格した子から見えてくる学校側の合否判断における子ども観はしっかりと分析し、今後の指導に活かさなくてはなりません。小学校入試の合否は学力で決まるのではありませんが、そうであればなおさら、合否判断の基準はいったい何なのかを分析しておかなくてはなりません。学力がありながら合格できなかった子どものことを「結局ご縁がなかったのよ」と済ますわけにはいかないのです。なぜ「ご縁」がなかったのか、それを明らかにしていく中で、複雑な小学校入試の実態を明らかにしていく責任が私たちにはあるのです。

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