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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

第3回「合格のための連続講座」を終えて

第144号 2008/03/21(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 第3回目となる「合格のための連続講座」を3月14日に行いました。今回は、言語領域における最近の新しい問題を分析しながら、どんな学習をしたらよいのかをお伝えしました。言語領域における最近の傾向を見るには、次の3つの観点からの分析が必要です。

(A)話の内容理解はどのように変わってきているか
(B)話す力は、どのようにチェックされるのか
(C)言葉の理解に関する学習は、どこまでしておけば良いのか

(A)に関しては、最近の入試で市販の絵本が使われることに象徴されるように、聞かせるお話が長くなりました。また、従来からある典型的な質問事項に加え、言語以外の領域に関する理解のチェックを、話の内容理解の形式で行う学校が増えてきました。たとえば、ある学校では、話の内容理解の形をとりながら、実は数の問題であったり、地図上の移動の問題であったりしています。小学校に入学するためのレディネスとして、人の話をしっかり聞くことができるかどうか、ということをどの学校も重視しているのです。この点をふまえた対策が必要です。
(B)に関しては、最近の子どもたちの一番弱い点が「会話力」の低下ですから、昔からある「お話づくり」だけでなく、さまざまな場面で、言語的な説明能力を求めています。行動観察の中でも、そうした視点でのチェックが重視されています。また、お話づくりにしても、従来からある4枚の絵カードを使ったお話づくりなどは減少し、代わって違った形式のお話づくりが、課せられています。そうした、最近の傾向をふまえたトレーニングが大事です。
(C)に関しては、一音一文字やしりとりを筆頭に、さまざまな問題が工夫され、出されています。しりとりは単なる言葉遊びではなく、ルールをどのように理解したかという点で論理性が求められる問題が増えています。また、昨年秋の試験で、50音表を見せられ、指定の物の名前を、ひらがなでどう描くか、といった問題や、濁音・半濁音の理解を求める問題がある学校で出されましたが、このことには注目しておかなくてはなりません。今回の問題のレベルでいえば、どの子もできる問題で心配ありませんが、これまでの入試では、「文字は読ませない・書かせない」が暗黙の了解としてありましたので、これが崩れるとすると問題は難問化し、本格的な文字指導を入試のためにしなくてはならないからです。

以上述べたように、言語領域の入試問題が急速に変わりつつあります。「国語力」を育て、論理的思考力を育てていくことが、国家の方針として打ち出された以上、今後の小学校入試においても言語に関する問題は、増え続けていくはずです。「聞く力」と「話す力」の育成が幼児期の基礎教育においては重要です。最近の入試問題をよく分析し、日常的な練習課題をはっきりさせておかなくてはなりません。

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