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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

「慶應義塾 横浜に小中一貫校新設」のニュースにふれ

第127号 2007/11/16(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 11月9日の朝刊各紙は「慶應が横浜に小中一貫校 11年に開校予定」と報じています。慶應については以前から、関西に小学校を開校するのではないかという噂がありましたが、横浜というニュースを聞きびっくりしました。横浜市が所有している土地を購入し、創立150周年の記念事業の一環として、東急田園都市線江田駅近くに開校を予定しているとのことです。最近は、関西方面で小学校の新設が相次ぎ、小学校受験をめぐる話題が絶えませんが、今度横浜に慶應が開校ということになると、首都圏においても話題が沸騰しそうです。学校側からの詳しい発表がない段階で、あれこれコメントすることはできませんが、この問題をめぐっては、マスコミ等で今後相当話題になるはずです。

受験指導の現場にいる私たちは次のような観点で注目しています。

「入試の時期はどうするのだろうか」
「入試の内容や合否判定は、幼稚舎と同じような考え方で行われるのだろうか」
「中学受験大手専門塾が、この開校にあわせて小学校受験に参入してくるのではないか」

現状の小学校入試に当てはめて考えてみると、神奈川の入試は10月中に行われ、東京の入試は11月に入ってから行われています。この通りに行われるとしたら、慶應を希望するご家庭は2回受験のチャンスが出てくるということになります。上級校への進級について、今の幼稚舎と同じ条件であるとするなら、慶應を目指すご家庭にとっては、朗報となるかもしれません。しかし、もし2回チャンスがあるとすると、今度開校する学校の競争倍率は相当なものになるはずです。現在でも幼稚舎の試験は、他校と日程がずれるためかなり高い倍率になっているのですから・・・

ペーパーを使わない入試を行っている幼稚舎も、以前は相当難しいペーパー試験を行っていた学校でした。新しい慶應が現在の幼稚舎と違う方法の試験を行う可能性は否定できませんが、製作や運動等、行動観察的要素の強い試験を行っている現在の入試方法は、長年の蓄積の上で学校側が自信を持って行っている入試です。それを昔に戻して、難しいペーパーも使って試験を行う・・・ということにはなりにくいのではないかと思います。そのほうが、中学入試のような「学力主義」の発想では幼児の受験指導はできないことが明確になり、受験対策といえども、事物教育を中心とした方法で幼児期の基礎教育を徹底できるはずです。しかし、すでに報道でも「日本で一番難しい小学校になる」などと言われているように、難しいペーパー試験が復活するようなことになると、受験業界は大混乱になるかもしれません。まともな考えで準備教育が行われるよう、新しい慶應の入試も、今と同じ発想で行ってほしいものです。そして、子ども本意の実力主義で合否判定が行われることを願っています。

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